Sunny北加の日記

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2016年
10月11日
09:49

イマチニブ耐性の分子的メカニズム 耐性 [2]

前回に「二次変異発生初期の密度」を書こうと思いましたが、その前に順序的に良いのではと「二次的変異がどう起こるか、それが故に耐性がでるか」をポストしました。これらは2005年ほどから部分的な多くのリポートがだされています。それらの中で2007年の総括編的なリポートを見つけました。

このリポートは:
Improved Insight into Resistance Mechanisms to Imatinib in Gastrointestinal Stromal Tumors: A Basis for Novel Approaches and Individualization of Treatment
Stefan Sleijfer, Erik+Wiemer, at.al. March 5, 2007
http://theoncologist.alphamedpress.org/content/12/6/719.full

この2007年のリポートはD842V 変異、 PDGFR-α, または wild-typeにイマチニブが効かないGISTを早期耐性 (early progression) と呼び、これに対しイマチニブ治療を開始し腫瘍抑制が一時的に効果があったが、その3ヶ月、または6ヶ月以降に進行が起こるものを後期進行(late progression)と定義されています。繰り返しますが、これは2007年当時の説です。

長い翻訳は避けて、イマチニブ耐性に関した部分を下に箇条書きしました。

1. イマチニブ耐性によるGISTの後期進行は、イマチニブの圧力の下で起こり、二次的な変異による耐性獲得のメカニズムの結果で起こる(i) 。(私のコメント:これは2007年の説です。これにチャレンジする最近のサイトを後に紹介します。)

2. 耐性はほとんどの抗癌剤でもおこりレゴラフェニブでも起こる(ii) 。
Even with newer licensed multitarget kinase inhibitors such as regorafenib, resistance develops over time.

3. おそらく最も重要なイベントは、最初の変異の後に二次c-kit突然変異の発生で50%ー70%のGISTが進行している。二次変異は、主にATP結合部位またはc-kitのキナーゼ活性化ループの近傍に起こり、c-kit遺伝子のコード領域のエクソン13、14、17または18が変異している。これらの二次変異はc-kitタンパク質の立体構造変化(形の変化)を引き起こし、イマチニブの結合を妨害しイマチニブの感受性が低下する。

4. まだ理由は解っていないが、二次変異は60%の一次変異エクソン11に頻繁におこっており、エクソン9 の20%に起こっている。(注:私の記憶ですが、Wild type, PDFGRの変異には二次変異が起こらないようです。)

5. 二次変異は患者の同一腫瘍内の別場所、または他の臓器の別個の腫瘍内で見つかっている。これはGIST(増殖によるクローニング)の遺伝的不安定性を示している。

6. GISTの後期進行をもたらす別の潜在的なメカニズムは(GIST細胞の)c-kitの増幅だとの説もある。これはc-kit受容体が増加し、イマチニブの阻害能力を上回り、全体的に薬の阻害効果が下がる。しかしこのメカニズムは本当に臨床的に関連があるかは疑問です。(私のコメント:これが起こっていれば、イマチニブ1日400mgより600、800mg服用の方が耐性が出る確率が低くなるはずだが、Exon11変異ではそうでない。しかしExon9変異では最初から600、800mg服用が勧められている。)

7. 後期進行に寄与する可能性がある現象はc-KitまたはPDGFR-α以外のシグナル伝達経路の活性化である。これによりイマチニブの全体的な制御効果が減少し、無制御な腫瘍細胞の増殖に至る。(コメント:これはもっと詳細の説明が必要でしょう。)

8. 独立因子として、より大きな腫瘍が二次変異を発症する可能性がより高いという事実がある。(コメント:ここには書かれていないが、腫瘍径以上に腫瘍の活性化を示すMitotic rate, 細胞分裂進行中の頻度が二次変異を発症する可能性がより高いと実証されている。これはこのリポートの大きな失点だと思います。)

9. 耐性を示す別のメカニズムは、GIST細胞内のP-糖タンパク質などの薬剤排出ポンプの過剰発現により細胞内のイマチニブの濃度の減退との説。(初めて読む説です。)

10. 薬理学的因子はイマチニブの有効性が時間的に損なうおそれがある。高レベルな血液α1酸性糖タンパク質(blood protein α1-acid glycoprotein)はイマチニブと結合し、薬剤の有効性を減少させることがリポートされている。さらにイマチニブの薬物(血中)濃度は、時間経過とともに減少すると実証されている。この減少は、1年間以上の治療を受けた患者におけるイマチニブの曲線下面積(AUC)は、治療1ヶ月後に測定したAUCの約50%であることが実証されている。しかし、これらの薬理学的要因と腫瘍進行との正確な関係は現在のところ不明。

ここに箇条書きしたのはこのリポートの ”Resistance Mechanisms to Imatinib” のセクションに書かれています。詳細は各々参照された元文サイトを見てください。

私のコメント:1.と 3.はイマチニブ服用続行が二次変異を誘発するようにも読みとれます。英語では”起こす” は ”cause” と《他動詞》の引き起こす と因果関係を示す動詞が使われます。しかし、”起こる” は ”occur" との《自動詞》起こる,発生する が使われています。これは英文から日本語への翻訳のニュアンスが間違われる可能性も高くなるのでしょうか。

添付したのは私の再発したGISTの腫瘍径の変移をグラフ化したものです。摘出手術から二乗的に増殖したと仮定し、2004年にグリベック服用後のCT画像の最長径を示しました。2013年にUCLAからStanford病院のCTに変わり、もう腫瘍が確認できなくなりました。私はこれは機器、また放射線科医らの惰性が切れた結果だと思っています。それとも、引っ越しのストレスで腫瘍が見えなくなった? ともかく文句を言へば、地獄行だと、良い方にとっています。でも、潜在的なGISTが怖く、医師の休薬アドヴァイスに従わずイマチニブ200mg服用を続行しています。

でもグリベック服用後に随分CTを撮りました。ほとんどが胸部、腹部、下腹部の造影剤なしと注射後ですから、X-線被爆も相当量になっていると思います。でも今78歳ですが、パテイオの屋根替えをできる自分に感謝しています。

(i) Improved Insight into Resistance Mechanisms to Imatinib in Gastrointestinal Stromal Tumors: A Basis for Novel Approaches and Individualization of Treatment
http://theoncologist.alphamedpress.org/content/12/6/719.full

(ii) Promising novel therapeutic approaches in the management of gastrointestinal stromal tumors
http://www.futuremedicine.com/doi/full/10.2217/fon-2016-0194
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